西川ゼミのアンケート調査レポートの第二弾!「新型コロナウイルスの流行に伴う今夏の学生の旅行実態に関するレポート」がついに完成しました。全60問にもわたるアンケートに回答していただいた方、本当にありがとうございました!このHPからも、結果を見ることが出来るので、ぜひ見てください!
今回は、「意向」をベースに聞いていた前回と違い、実際にとった行動を、主に聞きました。6月の調査の時点で、「今夏、旅行に行きたい」と回答した人は、87%だったのにも関わらず、実際に旅行に行った人は、53%だったことからも分かるように、当たり前ですが、意向と行動にはギャップが生まれるのだな、という感想を持ちました。
今回の調査結果でも、Goto利用者のうち、宿泊施設への再訪意欲が高い人は「67.4%」、旅行先の地域への再訪意欲が高い人は、「87.6%」という高い数値の結果が出ました。が、再訪意欲の高い人に、「実際に来訪してもらう」ためには、どうすればいいのかしっかりと考える必要があると思います。
アンケート全体を見て、考えたことについては、全て論点整理に詰め込んだので、ぜひ読んでください!「地元観光」「Goto事業」「訪問先のことを考えた旅行」という3つのキーワードを軸に、アンケート結果から読み取れることを文章にしました。
特に、自分が担当したGoto事業については、Goto事業と旅行の実態、Goto事業が学生にどのような影響を与えたのか、地域が何をすべきなのか、という三つの観点から論点整理を行いました。
前置きが長くなりましたが、このブログでは、私が分析を担当した自由回答について思ったことを書きたいと思います。この調査の自由回答では、「コロナ禍の旅行において変わった点や、新たに見出した楽しみ方」、「一番印象的だった夏の旅行」などについて質問しました。選択式の回答では拾いきれないような、コロナ禍における旅行中の過ごし方だったり、この状況で学生はどのような旅行を印象的だと思うのかを知ることができました。レポートには載せきれなかった興味深い回答がたくさんあったので、いくつかを紹介します!
Q23.コロナ禍の旅行において、変わってしまったまたは変えた点や、新たに見出した楽しみ方を教えてください。
この質問の答えで多かったのは、圧倒的に「人混みを避ける」ことでした。自粛期間からずっと三密の回避といわれてきたことが染みついているのかもしれません。そして、人混みを避けた結果
他の観光客とは関わらないため、家族や友人などとの時間を以前よりゆっくりしむことが出来た
人が密集するような場所は避け、自然のアクティビティができるような場所に行くことが多かった
人との交流をできるだけ避けるようにしたため観光地で混雑に困らずにすんだ
のような、ポジティブな回答が多く見受けられました。
観光地の混雑=ストレス、という認識を持っている人が多いと思います。オーバーツーリズムの問題は、コロナ収束後も、解決するために動かなければいけないと改めて思いました。また、観光客が減り、人が少ない快適な観光を経験した学生たちが、観光地に多くの人が戻ってきた時、どのような旅行先を選択するのか興味深いと思いました。「穴場探し」をすることは楽しいし、自分だけが知っている場所という特別感も感じられるため、私も好きなことの一つです。しかし、穴場だからこそ、そこには静かな環境を好む人が住んでいたり、観光客が気軽に入って写真を撮ったりすることはすべきでない場所かもしれないということを自覚しようと、「訪問先のことを考える旅行」について議論する中で、自分自身も気が引きしまりました。
また、コロナ禍において「宿泊施設を目的とする旅行をした」という回答も多く見られました。
まさに、宿泊自体を目的として友人との時間を宿泊施設で楽しんだ
宿泊施設自体が目的になり、長時間滞在した。
特にGotoキャンペーンは宿泊施設の割引がメインだったり、今夏、コロナ感染対策を宣伝している宿泊施設が多くあったことから、旅行の際、宿泊施設をよく調べ、選んだ人が多かったのかなと思います。
「宿泊施設を目的とする旅行」は、せっかく旅行をしても、部屋にこもっていては、地域の魅力に気づけないのではないか、という問題もあるかと思います。しかし、宿泊施設が、その地域らしさを表す工夫をすることで、コロナ収束後には、また同じ地域を訪れて今度は、地域全体を回ってみたい!と思ってもらえるきっかけになるかもしれません。
また、自粛中には中々人と会うことが出来なかったことから、旅行の目的自体が、同行者の人と時間を過ごすことに変わりつつある気もしました。
Q26.その旅行が最も印象的だと感じた理由を教えてください。
この設問では、今夏で最も印象的だった旅行と、その旅行を選んだ理由を聞きました。もちろんコロナウイルスに関係した印象的な理由は多くありました。人が少なかったことや、感染対策など、コロナ禍特有の出来事を印象的だと感じた人が一定数いました。
とはいえ、コロナとは関係のない、自然の美しさや、食べ物のおいしさなどを印象的だと感じた人の方が割合としては多く71%でした。
龍泉洞が、この世のものとは思えないほど綺麗だった
天候や時期がよく、自然や空気が気持ちよかったこと
親しい友人たちと楽しい時間を過ごせた点、素晴らしい絶景や美味しい食べ物に出会えた点。
釣りや花火、海水浴など夏らしいことを楽しめたから。
オンラインでは感じることのできない、五感を使った体験を、印象的だと思う人が多いようです。特に、自然の美しさに対して、強い印象を持っている人が多くいました。正直、調査を行う前は、もっと、コロナ禍特有の出来事に対して、強い印象を持つと想像していました。しかし、「コロナを意識した生活」はすでに日常となりつつあり、非日常を求めて行く旅行では、綺麗なものをみたり、普段は食べられない美味しい食べ物を食べたりする、今の日常ではできないことを印象的だと思うようです。コロナウイルスによって、様々な価値観が変化したと思いますが、それぞれが何を美しいと思い、何に心が惹かれ、印象的だと思うのか、はそうそう変わらないものなのかなと思いました。
冬になり、現在、コロナウイルスの感染者数が増加している傾向があります。Gotoキャンペーンも停止となり、大学生の旅行に対する考え方は、夏から変化しているでしょう。観光学部生として、これからも引き続き調査を続け、これからの観光を考えるにあたって有益な情報を、私達から発信していけたらいいなと思います。
なかなか先の見えない状況の中で、目の前の、「ウィズコロナ」の観光がどうあるべきか、観光学部生として議論をしつつ、今は、一日でも早く世界中の感染者数が0になり、全ての人が同じように旅行を楽しめる世界になることを願っています。
Y.M.
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